Ghost in the Ship・3



★★★


「──誰だ? こんなところにこんなモノを置いたのは」


ハーロックが目覚めて艦橋に出た瞬間、ブーツの先に当たって転がった茶碗。中には飴玉がてんこ盛りに盛ってある。ころころと転がった飴玉を一つ拾い上げ、「あ、僕です」と手を挙げたのは台場正。


「僕が個人の判断でそこに置きました。不都合ですか? キャプテン」


「……不都合って、お前」


茶色の髪、茶色の目をした15歳の少年。理知的で聡明そうな眼差しが、何となく今は亡き友に似通っている。顔立ちは勿論、彼の方が数倍も整っているのだが、それでも彼の瞳を見つめると──思い出す。


「何故飴玉なんかを艦橋に? まぁ、お前は賢いのだからそれなりに理由は
 あるのだろうが」


「はい。座敷童へのお供え物として用意しました。この艦には座敷童がいる
 のです。ありがたいことです」


「──……ざ?」


聡明で、理知的な眼差し。一点の曇りもない。己の聞き間違いかと思い、ハーロックは「ザシキワラシ?」と反復する。


「ザシキワラシというのは……聞いたことがあるが」


「はい。古くはニホンのトーホク地方に出ると言われていたモノで、赤い顔
 をし、童子の姿をした妖怪です。この妖怪が憑いている間、その家は栄え、
 離れると途端に没落すると伝えられています。だから、こうしてお供え物
 などをして大切に扱っていることをアピールすることが重要なのです。で
 すから」


「……いるのか? ザシキワラシが」


はい、と迷い無く台場は言う。ハーロックは再びぱちくりとして、「そうか」と短くそれだけを言った。


「お前がいると言うのなら、多分それは存在するのだろう(お前の心の中に)。
 好きにすると良い。ここは海賊戦艦アルカディア。男の──本当の男の
 家なのだから」


「はい、好きにします。それでは」


ぺこり、と一礼して零れた飴玉を茶碗に戻す。その淡々とした態度は、何だか薄ら寒くさえあった。「ありゃりゃぁ」と魔地が酒瓶片手に台場に向かって手を翳す。


「あれは──アレだな。いやぁ、いつか来るとは思っていたが」


「何がアレだというのだ魔地。ちょっとこっちに来て話せ」


──これは物凄くデリケートな問題だ。ハーロックは慌てて魔地の腕を掴んで艦橋を出た。


「機関長、迂闊な発言は困る。何せ台場は未成年だし、目の前で父を喪って
 いるのだ。多感なこの時期、少しくらい行動が奇異だからとてむやみに
 刺激をしては」


「いや…この時期だからこそ刺激が必要なのだと思うね。俺は」


魔地が滅多にない真面目な顔になる。


「俺が思うにヤツには同年代の友達が必要なのだよ。いくらここが少年の
 憧れアルカディア号とて、一番歳が近いのが有紀だろ。そりゃあ有紀が
 友達として不適当かと言えばそんなことはないが、やっぱり有紀は女だし、
 アイツは歳より大人びてるし。何より、女は男と友達にはなれんだろーが」


「ミーメと俺は友達だが」


「じゃあミーメが敏郎の代わりになるのかよ。なんねーだろ。この馬鹿」


「──……そんなのは」


なるわけが──ない。ミーメは大切で。かけがえがなくて。けれど、『彼』の
代わりにはならない。断じて──ならない。そういう次元ではないのだ。もう。


「ミーメだけじゃないさ。他の誰も、我が偉大な親友の代わりには」



「その言い方、やめろ」



不愉快そうに、魔地が口元を歪める。薄暗い廊下。この艦には殆ど光が無い。
照明が点いている時間が極端に短い。マゾーンとの戦闘中だから、ということもあるが、無論それだけではない。この艦は、いつだって喪に服しているのだ。


「まだアイツを名前で呼んでやれねーのか。まだアイツの存在を曖昧にし
 続けるのか。何年経ったと思う? 記憶は主観でしかねーんだぞ。そうい
 う言い方してっとな。腐って融けて無くなっちまうんだ。人の記憶は」


「──…お前に、何がわかるんだ」


本当に、何が。ハーロックは語気を強める。かけがえのない親友。魂の伴侶。生涯を共に生き、共に原子に還ることを疑って止まなかった者の喪失。その痛みの、その絶望の、一体何がわかるというのだろう。人の記憶など曖昧で、確かに腐っていくものなのだろう。けれど、この艦には『彼』がいるのだ。肉体は無くとも──『彼』の心が。


「腐って融けてなどいきはしない。ここにはアイツが──アイツの心が」


「そういうことじゃねぇんだよ。そういうことじゃ」


魔地も引かない。鋭い眼差しでハーロックの顔を睨み上げてくる。


「俺が問題にしてぇのは、お前の心の内のことさ。確かにこの艦にはアイツ
 の心が宿っている。そのことは俺もミーメもヤッタランもトリだって疑っ
 てねぇ。だけど──この手に掴めないものは腐っていくんだよ。今も、土
 の下で眠るアイツの肉体のようにな。融けて、腐って……そうして、遠く
 時の輪の接するところへと還っていく。お前が飲み込めてねぇのはそのこ
 とだ。お前が整理出来てねぇのはアイツの『死』そのものだろうが。そん
 なことで敏郎が」


「アイツの名前をこの艦で呼ぶな」


敏郎──トチロー。『彼』をその名で呼ばなくなってから、どれほどの月日が
流れただろう。名前を口にしようとすれば、今でも胸と目頭が痛む。何年経とうとも、消えない悲しみ。

ハーロックの顔を凝っと見つめ、魔地は小さな溜息をついた。


「……禁忌にしちまってることが問題なんだよ。お前の場合。アイツの名前
 が過去形で忍ばれるのがそんなに嫌か? そういう時の自分の顔が、どん
 なに情けなくなってるか知ってるか? お前はあの時のまま──アイツの
 墓の前からまだ一歩も動けてないんだぞ。わかってるのか?」


「──知って、いるさ」


ハーロックは、ぎり、と右目の眼帯に爪を立てる。あの日、親友に殉じて喪った右目。眼帯の下には黄泉へと続く隧道のみが未練がましく開いている。


「知っているさ。けれど、これは簡単にどうこう出来るものではないのだ。
 引きずることの何が悪い? それ以外に俺はアイツに何をしてやれる。
 憶えていること、忘れ去らぬこと以外に、俺に何が出来るだろう」


動けなくて良い。動かなくて良い。あの時の──23歳のハーロックは、今でもヘヴィーメルダーの雨の中。『彼』の墓の傍らに、置き去りのまま。


「お前の場合はやり方が不味いっつーの。もっと……アレだ。どうせキレる
 なら明るい方向にキレろよな。台場みたく」


アレは秀逸だぜ、と魔地が「ひひひ」と肩をすくめる。座敷童か、とハーロックは話の主題を思い出した。


「アレは……明るい方向にキレていることになるのか? 座敷童だぞ」


「御供養(?)しようって心持ちが大事なんだよ。台場のアレは、友達の
 いない寂しさもあるだろうが、多分アイツなりの父親の供養でもあるんだ
 ろうぜ。親父がいきなりマゾーンに殺されて、てんやわんやの内に海賊船
 暮らしだ。多少キレてくるのがフツーだろ」


「普通…か?」


わからない。けれど、年長者たる魔地に自信を持って言われると、何となく
「そうかな」という気にもなってくるから不思議である。ハーロックが首を
傾げている間に、「対策は任せろよ」と魔地が勝手に歩き出した。


「こら、待たんか魔地。任せろと言ったってお前」


「こういう時の対処法っていうのは決まってンだよ。興味感心を座敷童とか
 供養とかホームシックとかから外してやれば良いんだ。アイツを一時機関
 室とエンジンルームにカンヅメするぜ。異存は? キャプテン」


「興味の対象を精神面よりも機械工作に持っていこうと言うのか? まぁ、
 上手くやる自信があるのなら好きにしろ」


「俺が一度でも上手くやらなかったことがあったかね」


「ひひひ」と再びイタチ笑いをして去っていく魔地。こうなったらハーロックは口を挟まないことにしている。人の心の細やかな機微など、自分からは遠く失われて久しいと自覚しているからだ。彩度の低い廊下の壁に背を預け、ハーロックはそっと溜息をついた。


「──…座敷童、か……」


昔、そんな風に友を呼んだことがある。いくつになっても童子のような姿をしていた親友は、艦内をうろついているだけなのに全てを把握し、良い方向へと導いてくれていたものだ。そう、それこそただ存在するだけでその場所に安寧をもたらす童子神のように。


誰よりも聡明で誰よりも神聖で誰よりも貴くて。
誰よりも戦いが嫌いで誰よりもあの青いだけの星を愛して。


誰よりも──人の明日を信じていた。



「──ふ」



ハーロックは左目を覆う。友が最後まで愛して、今も想っているあの星。
──守ろう、と想う。それが、自分のためには何一つ願わなかった男の最期の我儘なのだから。


「戦うために──今の俺は…生きているな」


呟く。そう繰り返すたびに少しずつ、視界が暗く淀んでいくのがわかる。
今、生きて呼吸して食事をして眠るのは──戦うため。


では、かつては?


かつてはそんなことのために生きていたのではないような気がするけれど。


「儚い──夢だ。そうは思わないか……友よ」


亡き友の胎内のような、柩のような艦の天井を仰いで。
ハーロックは、少しだけ自嘲の笑みを洩らした。




★★★


「どうしちゃったの? 台場くん」


僕の部屋──。
新しい飴玉を茶碗に盛っている僕の背後で、有紀蛍が不思議そうに尋ねてきた。
僕は振り向いて、「何が?」とことさら何事も無いような顔をする。


「僕、何か変なことしてるかな?」


「変って……どうなのかしら。だって、この艦にいるのは幽霊でしょう?
 座敷童って、どこからきたの」


「どこからって──」


僕は苦笑する。戸惑っている蛍の顔は、何だかとても可愛らしかった。


「座敷童がどこから来てどこから去るのかなんてこと、さすがの僕にも
 わからないよ、蛍さん」


幽霊の、正体見たり座敷童だったってだけ──。僕の言葉に、彼女は「まぁ」と目を見開く。


「それじゃあ、台場くんが見たのは幽霊じゃなかったってことなのね。でも、
 台場くんは科学主義で現実主義でしょう? 座敷童を──信じるの」


「勿論、入念な資料探しと適合作業の末に出た結論なら信じるとも。科学
 主義ってことは、何も非科学的なモノを否定しているわけじゃない。人間
 には難しい分析や計算を機械に委ね、あくまで自分の脳で結論を導き出そ
 うとする主義のことさ。その対象が、一般に非科学的と呼ばれるものだっ
 たとしても、その姿勢は変わらない。僕の調査の結果、あの夜出たのは幽
 霊じゃなかった。ありがたくも勿体なくも、この艦の守護神さまだったっ
 てわけ。守護神って言い切るのも難しい存在だったから、便宜上座敷童っ
 て分類しているだけだけど」


「ふふふ、それじゃあ幽霊を分析台にかけちゃったのね、台場くん」


蛍が笑う。「そうさ」と僕は胸を張った。


「DNA検査だってしてやったよ。あと、図鑑を調べて」


「もう、冗談ばかりなのね。本当のことは──まだ秘密かしら。それとも
 目下調査中?」


「秘密。これは男同士の約束だから、蛍さんにも、キャプテンにも言えない。
 僕を、まだ信じてくれる? 僕を正気だと思う?」


声を、低める。蛍は二三度瞬きをして、「良いわ」と軽やかに踵を返した。


「今アルカディア号にいるのは、座敷童ね。台場くん、あなたに任せて
 おけば大丈夫……ね」


「うん。きっと悪いようにはしないよ」


僕が頷くと、「それなら良いわ」と彼女は優しく囀って出て行った。僕は、ほ、として机に寄りかかる。──彼女にだけは、僕の正気を疑って欲しくない。



お前、彼女のことが好きなのか。



不意に全身に疼痛が走る。見れば、ベッドに腰かけるようにして『座敷童』が座っていた。

白い袴姿に真紅の能面。相変わらずの姿だが、もう恐いという感じはしない。
目が慣れてしまったからだろうか。それとも、ぼくがもう殆ど『彼』を魂の
入った『人』として認識しているせいだろうか。


「好き──って…まだ、彼女に出会ってそんな日にちも経っていないのに」


頬が熱くなるのを自覚している。ふん、と『彼』が肩をすくめた。



人を好きになるのに時間は関係無いものさ。良いねぇ、青春の1ページ。



「からかわないで下さいよ。僕は……その」



好きでもない女にいちいち己の正気を信じるよう言い含める男がいるかね。
しかし──座敷童とは言ってくれる。有紀はともかく、機関長辺りは完全に
お前の正気を疑っているぜ。




『彼』がふわりと舞い上がった。至近距離で覗き込まれ、僕は「それこそが目的です」と椅子の背を抱き込むようにして座る。


「貴方を『幽霊』ではなく『妖怪』扱いしたのにだってちゃんと意味がある
 んです。『幽霊』と言ってしまえば、貴方の存在に気付いてしまう人がいる
 かもしれないし──特に、勘の良いミーメや副長は絶対に貴方の存在を疑
 うでしょう。でも、僕が『座敷童』を見た、と言って少々の奇行に走れば、
 誰もが僕の正気は疑うが、貴方の存在の有無までは頭が回らなくなる。そ
 れに、こうして貴方と話すための時間も取れるでしょうね。僕は父親を
 亡くしたばかりの思春期の少年ですから」


そっとしておこうと、誰もが思うはずだ。善良(海賊、という行為はともかく、あの人達は本当に良くも悪くも純粋である)な艦長含む以下40名の乗組員を騙すようで気が引けるが、他の誰にも存在を知られたくないという『彼』の要望を叶えるためには仕方がない。



意外と狡猾なのだね台場正。思春期の少年というのはもっと硝子のように繊細だと思っていたが。



「……この時代、硝子のように繊細だと死んじまいますよ。父が殺された
 ときは悲しかったけど──本当に悲しかったけど、それに負けていてはい
 けない。いつまでも泣いてはいられないです」



強い子なのだな。



「普通です。男なら──いつまでも自分を憐れんではいられない、でしょ
 う?」


命短し探求せよ少年、だ。僕にはしなくてはならないことが沢山ある。そんな僕を能面ごしに優しく見つめ、『彼』は「強い子なのだな」と繰り返す。



誰もがそんな風に割り切れはしない。頭ではわかっていても──上手くはいかないものだ。必ず、何らかの葛藤に悩まされることになる。ただ強くあることは難しいのだよ。



「それは貴方の人生における教訓ですか?」



………。



ふわ、と身を翻し、『彼』は再びベッドの縁に腰かけた。「始めましょう」と僕は椅子にきちんと座り直す。


「貴方に『魂』があるのか否か。それを判断するのは難しいです。一応、
 問答・会話形式による自立思考プログラムと同じ方法で確かめていきたい
 と思うのですが──。まぁ、貴方は大変に優れたA.I.なので、もう問答に入っ
 ても問題はないと思うのですが」


問答・会話形式による自立思考プログラム法。これはA.I.と人間が会話(初期の段階では人間が一方的に話し、コンピュータはそれを記憶する)し、最後には人生における命題など抽象的かつ哲学的な問題を問答することによって
A.I.の自立思考性を高めていくというものである。繰り返し“学習”させるのではなく、“記憶”から答えを探っていかせるというこの方法が、A.I.の精度を飛躍的に高めたというのは言うまでもない。

ただし、時間と労力を有する作業なため、早い内に廃れてしまった方法でもあるのだが。

僕が説明する間でもなく、『彼』はこの方法を知っているようだった。「原始的な路線で来たな」とぽつりと呟き、「良いぜ」と能面の顔を上げる。



問題は──ないと思う。先に言っておくが、大中枢コンピュータである『俺』が会話らしきコミュニケーションを取っているのはこの艦の艦長、キャプテン・ハーロックのみだ。それを踏まえて、質問してくれ。



「了解しました。それではまず──」


僕が前もって準備しておいた質問文を読み上げようとしたその時、
がちゃぷしゅーと乱暴に部屋の扉が開かれる。



「いよぅ台場! 俺と楽しく機関室やらウェポンシステムやらでカンヅメに
 なって遊ぼーぜー!!」



「魔地機関長……!!」


嫌な時に現われてくれたものだ。近付いてくるクマ髭機関長に、僕は慌ててベッドに倒れ伏す。──まぁ、そんなことをしなくても、『彼』はとっくに姿を消してしたのだが。


「台場ぁ、おめぇ座敷童が見えるんだってな。それはアレだ。大人になった
 ら見えなくなるっていうアレだな。そういうアレだろ。羨ましいな、えぇ
 おい」


「………はぁ」


どういう、アレだ。肘で脇腹をつつかれて、僕は仕方なく起き上がった。機関長はにこにこと不自然ほどの笑顔で俺を見上げている。結構、気を遣っているのかもしれない。


「でもなぁ台場。14、5にもなってアレなモン見てるのは恥ずかしいぞ。
 このアルカディア号に乗ったからには一皮ムケねぇとな。といっても下半
 身の方じゃねぇぞ。心の問題だ。精神力だな」


下はとっくにムケてねーとな。「きししし」とテンション高く機関長が一人
ウケる。僕は──暫し呆然となって彼を見つめていた。さっきまで、とても
高尚な話をしていたというのにこのギャップ。


「人生、機関長のように生きられれば幸せですね……」


「何だよ、羨ましいのか俺の人生が」


「いえ、全く」


こんな大人にはなりたくねぇモンである。「可愛くねーの」と機関長が唇を
尖らせた。──この人、これでもう40に手が届く年齢なのだ。


「ま、良いか。来いよ台場。機関室は楽しいぞー。活気があって、熱気が
 あって。こう言っちゃ何だが艦橋の方は辛気くさいな。戦闘でもない限り、
 そんなに楽しいこともねぇだろ。こっちに来れば主砲とかいじらせてやる
 ぜ。主砲。アルカディア号の主砲だぞ。凄ぇぞーこれは」


俺の手を引っ張って、機関長は鼻歌混じりだ。確かにアルカディア号の主砲には興味を惹かれるが。



──行って来いよ。



頭の中に『彼』の声が反響する。そうだな、と僕は考えを切り替えた。
せっかくなのだから、艦長や生前の『彼』についての予備知識を増やしておくのも悪くない。何せ機関長は『彼』の存命中を知る、数少ない乗組員なのだから。

僕は機関長について廊下に出ながら切り出した。


「主砲って……キャプテンの親友さんが手がけたという?」


「おう。主砲だけじゃねーぞ。この艦は全部アイツが造ったのさ。デザイン・
 設計全部アイツな」


「アイツ──その人、偉大な方だったのですね。僕も技師の端くれです。
 お名前は──確か」


「お名前? 作文にでも書く気かよ。まぁ、ちょっと調べりゃすぐわかる 
 けどよ。アイツ、その方面では有名人だったし」


「その方面?」


技術とか、知識の方面さ──と、てくてく歩きながら機関長が器用に振り返る。



「大山敏郎。17番目の“エルダ”って言えば──知ってるだろ。お前も」

















●ラストの魔地のセリフ最初は、14番目の“エルダ”って書いてました。14番目は父の方です。トチローは17番です。紛らわしくてスミマセン。間違えるなよ、私。恥。そして猛省。



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