桜骨・3





★★★


「食人星──貴方から花見のお誘いを受けたときにはもしやと思いました
 が…やはり」


名もなき食人星大気圏外。デスシャドウの艦橋に戻った魔地達を出迎えたの
はエメラルダスだった。

真紅の魔女。不死身の女。鋼鉄の淑女。広い宇宙に彼女を表す言葉は幾つも
あるが、このデスシャドウの男達が彼女を表すときに使う言葉は一つだけだ。


敏郎の、恋人。



「ご無事で何より──」


敏郎を心から愛する女は、土まみれ、腐肉まみれになった男を厭うことなく
微笑んで膝を折った。

どこか中性的でもある細い肢体は、銃を取り、サーベルを抜いて戦うように
はまるで見えない。背にまで届く緋色の髪も手入れは怠われておらず、艦橋
で点滅する無機質な計測機器の光にも艶やかに輝いている。

これでドレスでも着れば、左右対称の顔に一筋走る傷跡さえなければ、彼女
を海賊と思うものなど誰一人いないだろう。

いつもはどんな男でも、歴戦の猛者ですら射竦める眼差しさえ、今は恋人を
前に綻んでいる。


「そうご無事でもない。ハーロックがまだあの星に居残っておる」


無感情に言い捨て、敏郎はハーロックの椅子によじ登る。帽子を脱ぎ、脱力
した恋人をエメラルダスは優しく見下ろした。


「ハーロックが……? けれど、あの人のことです。心配はいりませんね」


「零も一緒だ。あの馬鹿、俺達の言うことは聞けんとぬかしてどこぞへ走り
 去りおった。俺の刀も一緒である。ハーロックは零を保護するために」


「まぁ、それは──」


心配ですね。魔女の顔に初めて憂いが浮かぶ。


「私が遅れてこなければ…もっと打つ手があったかもしれなかった……。
 申し訳ありません、敏郎」


「お前は遠くにいたのだから仕方がない。この事態を招いたのは全て、調査
 を怠った俺の責任だ。何とか収拾をつけなくてはならないが──エメラル
 ダス、お前、先程もしやと言ったな。あの星について何か心当たりでも?」


「心当たり…いえ、心当たりと言うほどのこともありません。あの星…そう、
 『まごうことなき桜花の星』は…僅か50年ほど前までは、ただの古い
 歴史を持つ移民星だった。そう、記憶しています」


「僅か50年……?」


その言い方に、魔地は違和感を覚えた。確かに、移民の歴史は古く、500年
以上遡ることが可能だ。500年の中の50年。それは確かに僅かなものだろ
う。

けれど、エメラルダスの言い方は違うのだ。歴史に照らし合わせての僅かで
はない。彼女の生、彼女の記憶に流れる時間に合わせて「僅か」と言ってい
るニュアンスが含まれている。

その証拠に彼女はほんの10秒前にあったことを思い出すかのようにあっさ
りと失われたはずの星の名を出した。まだ、二十歳を越えたばかりの歳若い
姿をして。



「エメラルダスはんはラーメタルの出身やねん」


魔地の疑問を読んだかのように、ヤッタランが囁いてくる。


「千年を一日とする長命種。彼女が見てきた宇宙史の長さは、かの伝説の女
 レイラ・ディスティニー・シュラにも匹敵すると言われとるねん」


「レイラ・ディスティニー・シュラか……」


あの。『エルダ』認証試験を全宇宙に配信していると言われているヴァルハ
ラ星域と同じく、人類には観測不可能な星域に住むという。宇宙開闢と共に
生まれ、時には未来さえも予言するという伝説の。


「そりゃ凄い」


──歳の差恋愛だ。危うく出かかった言葉を魔地はどうにか呑み込んだ。


「じゃあ、あの星のこと知ってて当然だな。50年なんて、ほんの瞬きだ」


「人の生も──やな」


どこか、寂しげにヤッタランが呟く。50年。彼女にとっては瞬きでも、人
間にとっては変わるに足りる長い年月だ。

次の50年には。こうして愛しい男や友に囲まれて花見をすることも叶わな
いのかもしれない。敏郎の呼び出しを受けたとき、数万光年離れた場所にい
たにも関わらず「遅れますが」と言って駆けつけてきた彼女の気持ちが、魔
地にも何となく理解出来た。

そして、彼女が艦一つを友にして、決して他の者と旅をしない理由も。



「『まごうことなき桜花の星』か──。それが、かつてのあの星の名前であっ
 たわけだな」


周囲の寂寥感などどこを吹く風。敏郎が顎を擦って頭上の三次元スクリーン
に映し出される星を睨んだ。

遠くから見ても美しい星だ。桜色に染まるあの大地の下に、無念の想いを残
して腐敗した死体が道連れを待って眠っているとは予測も出来まい。


「えぇ。穏やかで…美しい星でした。春の気候と同じく……人々の心は温か
 で、思いやりに満ちていた。足りて、何一つ欠けることのないように」


エメラルダスの眼に、悲しみが宿る。


「けれど…それも変わってしまった。人の心も──星の心も。元より、そう
 なる運命ではなかったというのに」


「なるほど、後天的に変化したということか。そこまでは、俺の予想と同じ。
 エメラルダスよ、零がしゃれこうべを掘り出した。女のものだ。やはり、
 あのしゃれこうべこそが星を変えた張本人か?」


「女の……。そう、ですか。零が……。零が、掘り出したというのなら…そ
 れは、そうなのかもしれません」


私も、人づてに聞いた話ですから──。敏郎が腰かける椅子の背に、ゆっく
りと手をかけて。


悠久の時を生きる魔女は瞬きほどの過去を語り始めた。





★★★


斬っても斬ってもきりがない──!!


零はしゃれこうべを片手に舌打ちした。背後から襲ってきた亡者の首を刎ね、
近くの岩壁に背を預ける。

どこまで駆けてきたのだろう。桜並木だった景色が一変し、ごつごつとした
岩が隆起する崖下のような場所に出てしまっている。

元々動きの鈍い亡者達だ。過半数は振り切った。けれど、こちらも体力を消
耗し、逃げ場そのものが狭まっている以上、追っ手に囲まれるのは時間の問
題だ。

一体、何をしてるんだろう。零は呼吸を整えながら思う。しゃれこうべ一つ。
皆の安全が保障されるというのなら、砕かせてしまえば良かったのだ。他な
らぬ叡智の使徒敏郎の言うことだ。間違っていることなど、なかったかもし
れないのに。


否、敏郎だって人間なのだ。零は首を振る。その証拠に食人星と知らずにこ
の星に降りた。完璧ではない。ならばやはり砕かせるわけにはいかないのだ。


全ての大本だというこの髑髏。違うかもしれない。そうなのかもしれない。



──帰りたいだろうな。疲労のせいか、零の思考はそこで停止している。



帰りたいだろうな。自分の星に。自分の肉親、家族の元に。女一人、どうし
て。こんな辺境の星、墓碑もなく弔う人もなく。

手向けられる花もなく。慟哭の声もなく。寂しいだろうな。霧の淀む岩場。
視界が霞む。何十何百と亡者達を斬り払って駆けてきたのだ。一度立ち止
まってしまえばもう動けない。体力も限界だった。零はずるずるとその場に
座り込む。


「大丈夫──だから」


手の中の死者に語りかける。大丈夫。大丈夫。きっと待ってる人がいるんだ。
君のことを。憶えててなくさず、君の帰りを待っている人がいるんだ。

地球に。あの星のどこかに。きっと。


その人は君に墓碑をくれて、棺に眠らせて弔ってくれる。白い花束と慟哭の
声。君の姿が変わり果ててても抱いてくれる。


だから大丈夫。大丈夫。だいじょうぶ。だいじょうぶ──。


耳鳴りがする。遠くで、亡者達の哄笑。げらげらげらげら。げらげらげら。


桜の匂い。死者の臭い。膝にしゃれこうべ一つを抱いて、零は目を閉じる。
もう一歩も動けそうにない。


げらげら。げらげらげらげら。笑い声が近付いてくる。霧の向こうからじわ
りと滲み出てくる亡者の姿に零は表情を険しくした。立ち上がろうとして、
崩れる。連中を斬り拓くときに幾度か捕まり、深手を負っているのだ。敏郎
の刃が掠った箇所も、鋭い痛みを増してきている。

戦えるのか? 戦わなくては。零はしゃれこうべをそっと砂利の上に置いた。
大丈夫。逃げようと言ってくれた彼らに背を向けてきたのだ。負けるにして
もただ負けるわけにはいかない。

大丈夫。だいじょうぶだよ。もはや鉄の棒と化した刀の刃を返す。大丈夫。
これは敏郎の大切なものなんだ。私が死んでも──彼なら必ず。

彼なら必ず。親友の大切なものを取り返さずにはいられないだろう。そうし
て、きっと見つけてくれる。零の口元に淡い笑みが浮かんだ。大丈夫。私が
死んでも──彼なら必ず。その亡骸を目印に、捜し出してくれるだろう。


彼ならきっと。このしゃれこうべに覆い被さった元軍属の愚鈍な男の亡骸と、
親友の刀を見つけ出してくれる。誰かが命を賭けて守ろうとしたものをあだ
疎かにする男ではない。きっと、何もかも良くしてくれるだろう。

たとえ、君がこの星を変貌させた張本人でも。だから、大丈夫。


追悼の白い花束。慟哭の声と弔いの祈り。きっと、死者を安らかにする全て
を与えてくれる。


「だから──大丈夫」


零は呟く。軍属ゆえに、自身が選んだ生き方ゆえに。彼らと同じ価値観、同
じ考えでは動けない。彼らが選ぶことの全てを否定して、なお歪まず真っ直
ぐに生きなくてはならない。

仕方ないなんて──言いたくない。自分が生きるために、誰かや何かを踏み
つけにするのも御免だ。


矛盾してる。汚いことの全てを他者に押し付けてでしか成立しない生き方だ。
自覚はある。けれど、変えられない。


迫ってくる。亡者の群れ。喰われるのだろうか。視界が暗む。自嘲と嘆きの
入り混じった笑い声は、あの時に聞いたものに似てる。


地球が墜ちていくのを目の当たりにしたあの日。自分の手が何も守れない無
力なものだと思い知った日。


叫んで叫んで叫び尽くして。声も出ないほど。自死を試みても叶わず、手脚
を撃ち抜かれ、機械化人将校に嘲りを受けたあの日。


あの日、自分の内に響いていた笑い声だ。岩壁を支えに立ち上がる。


地球が負けたあの日。本当なら、とっくに死んでいる筈だった自分。家族も
亡くし、厭うた争いから逃げ出すことすら出来ずに艦を繰る。今はただ、薄
紙のように儚いつかの間の平和を維持するために。


妄執だ。生きながらにして死んでいるも同然だ。この亡者としゃれこうべ、
一体自分とどう違うのだ。


刀を、構える。同じだ。何も変わらない。自由で無法の海賊達。彼らには理
解出来ないだろう。縛られることのない身では、縛られ、囚われ逃れられぬ
者の気持ちなど永遠にわからない。


私『達』の気持ちなど。斬って捨てても構わないのだ。



寂しい。零はふと頭上を仰いだ。彼らはもう安全圏に去っただろうか。この
場所を睥睨するような高いところで、零が仕出かしたことの後始末を叡智と
力を秤にかけて考えているに違いない。

寂しい。彼らは紛れもなく自分自身の責任のために動いているのだ。零のた
めでも、他の誰のためでもない。


寂しい。


亡者が幾分か速度を上げて襲いかかってくる。零は前方に視線を戻し、上段
の構えを取って、呼吸を低く、低く。




「──ッ! 吼えろ!! コスモドラグーン!!」




不意に、上空から閃光の雨が降り注いだ。零は反射的に目を閉じてしゃれこ
うべを庇う。霧を裂き、亡者の群れをつんざいて崖上からハーロックが飛び
降りてきた。

一通り亡者達を淘汰したのを確認し、銃をホルダーの中に収めて振り向く。


「零!!」


「ハーロック……?」


厳しい表情をしている。刀としゃれこうべを胸に抱き、零は岩肌伝いに少し
だけ彼から距離を取った。


「何を…しにきた。私にとどめでも」


「この…ッ馬鹿が!」


大股で距離を詰められ、頬を思い切り叩かれる。空間に打擲の音が反響した。


「なァにがとどめだ! ぐだぐだのくせに格好つけるな!!」


「な…何をする! いきなり殴りつけるなど……私は私の意志に従ったま
 で。君の指図に従う義理はないと言ったはずだぞ!」


「指図……? どうして殴られたのかわかんないのか?! わかんないなら
 ──もう一発だ!!」


ぱしん。今度は軽く。打たれて赤くなった頬を叩かれる。零はぎゅっと唇を
噛み締めた。視界が、滲む。


「何だというのだ…私は、ただ」


「本気でわかんないみたいだな。じゃあ教えてやるよ。まず、トチローの刀!
 それ大事なんだぞ。勝手に持って行きやがって」


「それは──」



──私が死んでも、君なら。



「それと、今日の花見はデスシャドウ主催だ。総責任者は俺だ! 同じ一艦
 の主でありながら命令系統ぐちゃぐちゃにしやがって。反則だぞ。郷に
 入れば郷に従えって言葉、知らないのか?」


「だから、私は──」



私は、ただの異端者で。君達とは違う存在で。



「それから! これが一番重要なんだよ」


ハーロックが頭を乱暴に掻いて視線を逸らした。躊躇いののち、すっと手が
伸びてくる。零はまた頬を張られるのかと身構えた。


「……あんまり、手間かけさせるんじゃない。馬鹿」


だが、予想に反して与えられたのは抱擁。髪を梳かれ、引き寄せられて、零
はゆっくりとハーロックの肩に顔を埋める。


「怪我は──? ボロボロじゃないか」


「平気だ…見た目が派手なだけで…命に別条は…ない」


「そうか……」


良かった。囁き落とされる言葉。それでようやく、零は全体重を彼の肩に委
ねた。


「敏郎達は?」


「行ったよ。デスシャドウに戻った。今頃エメラルダスが着いてるはずだか
 ら…この星について何か情報が入ってるかも」


「レディ・エメラルダスが……? 来る予定だったのか? それに、敏郎が
 調べられなかったことを何故彼女が」


「俺達が宴をすると言えば、彼女は銀河の果てからでもやって来るさ。それ
 に、エメラルダスは宇宙史についてならトチローよりもずっと詳しい」


いずれわかるよ。ハーロックの体が離れる。支えるものがなくなって、零は
数度よろけた。途端、優しく二の腕を取られる。微笑まれ、「行こう」と促
されて零は俯き、密かに赤面した。


「行くとは……どこへ?」


「この星の外さ。魔地が糸を張って道を作ってくれた。ゾンビなんか一撃
 必殺の金属糸だ。取り敢えず、そこまで行けば安全だな。ここは危なくて
 いけないよ」


確かに。ハーロックが崖の上から連続発射したレーザービームの雨もただの
露払いに過ぎなかったようだ。霧の向こう側にはまだ無数の亡者の影が揺ら
めいている。零はこくんと喉を鳴らして頷いた。


「そのようだな。だが…私は」


「わかってるよ。その髑髏さんと一緒じゃなきゃ嫌だって言うんだろ。
 持って行けば良いさ。艦に戻れば、ちゃんとした調査器具も揃ってるし、
 調べてみればトチローが言ってたことが正しいって証明出来る。そうす
 りゃお前だって髑髏さんの破壊に否とは言わないだろ」


「──ッ! よくもそんな冒涜的なこと!!」


わかっていない。零はハーロックの腕を振り解いた。よろめく。視界がぶれ
る。けれど、そんなことは気にもならない。


「調べて黒だったら破壊するのか? この異郷の地で亡くなった人を? 
 冗談じゃない。言ったろう。このしゃれこうべは私が、私が地球に戻って
 身元の照合を。しかるべき遺族の元へ返却すると。それがどうしてそうい
 う話にすり替わる!!」


「冒涜的? 零よ、冒涜的と言うならこの光景がまさしくそれだ。わからな
 いか? ここに蠢いてるアンデッドだって元は人間だ! 生きていたの
 に死んだ──いや、殺されたんだぞ!! 原因はその髑髏だとトチローが
 言う。俺もそう思う。こうまでアンデッド達が活動している中でその髑髏
 だけが不自然だ。俺にもわかることがどうしてお前にわからないんだ!」


「あぁわからないさ。このしゃれこうべがこの星を食人星に変えたから? 
 沢山の人々を巻き込んだから? 死者が現世に妄執を残しているのが醜
 いか? だから破壊するのだろう! そうすることに何の躊躇いもない
 君達の考えることなど……私にはわからない!!」


「零、そうは言ってないだろ。それに、そいつが大本で、砕いてこの星が元
 に戻るっていうなら、お前だって銀河連合に破壊の申請をしなくて済むん
 だぞ? 一体何が悪い!」


「悪いだと? 悪いと言うなら──」



零は唇を引き結ぶ。美しかった星を焦土に変えた。沢山の人々を飢えと寒さに
巻き込んだ。そして今なお、仮初めのような生にしがみついている。あたかも、
死者の妄執のごとく。



「全てだ」



私と『彼女』とどう違う。そして、自由に宇宙を飛ぶ無法の者達はそれを悪
と呼ぶのだ。平然と、砕けば良いと切って捨てるのだ。

こんなに寂しくなるくらいなら、私だって。零はぎゅっとしゃれこうべを抱
いてハーロックに背を向ける。


「やはり私と君は相容れぬ存在のようだな。刀は返す。私のことなど──
 放っておけ」


「おい、こら零」


「この星から出ることがかなわないのなら、私がせめてもの供養を。死者に
 は安らかな眠りを。どんな者だって、死んでしまえば」


眠れるのだ。棺に入り、安らかに。彼らはそれを許さないと言う。ならば、
どうして零の家族は誰も帰ってこないのだ。墓碑も棺も花束も用意して待っ
ているのに。

骨の一片。一握りの灰。慟哭の声と追悼と。どんな姿になったって、戻って
きて欲しいと待っているのに。


「死んでしまえば──罪なんて無い」


父も伯父も妻も子も。悪ではなかった。零の記憶の中で、彼らが、彼女が悪
だったことなど一度もないのに。

それなのに、安らかに眠る場所さえ得られない。みんな、遠くに逝ってしまっ
た。



そして、ハーロックは零など砕いてしまっても良いと言う。それで全てが丸
く収まるのなら、零と同じ罪を犯した亡骸を墓碑も祈りもなく葬っても良い
と言う。



こんなに寂しくなるくらいなら。砕かれて、それで全てが上手くいくと言う
のなら。


誰が、妄執など残すものか。



「零! 馬鹿、そっちに行くな!! こっちだ。お前はこっちに──」


「うるさい! ついて来るな!!」


引き止めるハーロックの声を振り切って、零はまた一歩足を踏み出した。


「?!!」


ばきん。急に足元が脆くなる。砂利ではなく何か木板のようなモノを踏み
砕いて──零は、落ちた。




















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